障害者就労継続B型事業まとめ~低工賃からの脱出 (2019年10月13日)

障害者就労継続B型事業まとめ~低工賃からの脱出 (2019年10月13日)

事業所数は毎年増加で、格差は約5倍

先日参加した障害者就労支援フォーラムで、厚生労働省担当者から、工賃向上に関する現状の取り組みの報告がありました。障害者就労継続B型は毎年増加しており、平成30年度で12,423事業所、うち北海道、東京、大阪が800以上の事業所と突出しています。また平成29年度の利用者一人当たりの平均工賃月額は15,603円と18年度と比べて27.7%上昇している一方、上位25%の事業所の平均工賃が27,505円に対して、下位25%の事業所が5,878円と、約5倍の差があります。

日々事業所と接している肌感覚でも、事業所数の増加と格差は実感しています。

最近話題に乗るのが、児童デイの事業所を運営している法人が働く場として就労継続Bを考えているということ、新規参入としてグループホームと就労継続Bで事業を始めるということ、等々。こんな形で事業所数は増加しているようです。 一方格差。これは少し深刻で、あくまで肌感覚では、大きな(規模、地域での歴史や存在感も含めて)事業所はより高工賃に、小さな事業所・新興の事業所は低工賃から脱出するのに苦戦しているような気がします。両者には職員の数や利用者の数で差がつきますし、この数の差によって受けられる仕事の種類とか量とかが違ってきます。小規模・新興では、営業活動や内部固めの職員研修もままならないというのが実態のようです。あくまで、私の肌感覚ですが。

低工賃から脱出するには~意識への挑戦

小規模・新興は数の差でデメリットを受けますが、一方でメリットとして「フットワークの良さ」が考えられるところです。とは言え、多くの事業所で少人数でも動けないという事態が発生していますが、これは考え方の違いや意識の違いが大きく影響していて、厚い壁や深い溝になっているようです。さてこの意識にどう挑戦するか? まずは「なぜウチの工賃は〇〇円と低いんだろう」と疑問を持ったあなたから、その疑問や問いかけを周りにしてみるということが、最初の一歩ではないでしょうか。

一職員の問いかけから施設全体の意識改革に発展し、事業が順調に伸びていった事業所です。意識改革のプロセスはかなり厳しいもののようでしたが、その厳しさも問題に真剣に向き合っているから生まれるもの。その厳しさがあったからこそ、今の成果につながっているのでしょう。

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1364000/

ちゃんと対話することはキツさを伴います。自分と真逆な意見にもしっかり耳を傾け、自分の考えを深めて表現する。この繰り返し。しかしこの先にはチームとしての価値観の共有が生まれます。価値観の共有は意識改革の土台になります。

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/5015271/

あらためてB型とは何かを話し合ってみてはどうでしょうか。

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1367765/

低工賃から脱出するには~事業と生産現場の見直し

「就労継続支援A型・B型の賃金・工賃の向上に関するモデル事例収集と成功要因の分析にかかる調査研究」(平成29年度障害者総合福祉推進事業)によると、工賃向上にとても効果があった/効果があったという回答が多かったのは、下記でした。

・賃金向上を目的とした事業所内会議を行っている

・作業部門ごとの売り上げ・利益などを分析している

・新たな販路開拓をおこなった

・設備投資、機械購入を行った

・作業環境の改善に取り組んだ

事例からもその内容が裏付けられます。

働く障害者の平均工賃10万円の事業所はどんな仕事をしているのでしょうか?

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1362841/

工賃アップ8割の達成2万円台突破の背景にあるもの

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1361792/

福祉にも工賃にも効く「作業標準」

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1354149/

受注力アップの秘訣

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1352875/

低工賃から脱出するには~組織作りへの挑戦

やりがいのある仕事や結果としての工賃向上は、一人ではできません。価値観を共有する仲間(利用者も含めて)が必要で、その仲間とのやりとりで生まれる化学反応(モチベーション)が次の行動を起こしてくれます。

職員の張り合いは成長した利用者だという声をよく聞きます。職員のその頑張りが評価され、職員の成長も見える化することが、またモチベーションに繋がります。

皆が笑顔で働けるタスカルカード

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1365492/

職場が元気になるほめる仕組みを作ろう

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1363434/

事業所を強くするキャリアパス

https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/5001205/

このような視点で振り返ってみては、いかがでしょうか。

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