障害者の強みを活かした展開

「障害者の強みを活かした展開

障害者が持つ力を評価して世の中に上手く伝える方法はないでしょうか。実は私がずっと考えていることです。

障害者の力は、健常者と違います。同じ尺度で測ることができません。世の中の人は、健常者の能力が「ふつう」で障害者は「ふつうでない」と考えがちです。でも、そもそも「ふつう」などなく、大多数の人たちに出来るから「ふつう」とみなされているだけです。従って、尺度を変えた途端、障害者の方が優れている、と思わせる事例がいくつも出てくると私は考えています。

 

例えば「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」というイベントがあります。真っ暗闇の中を視覚障害者が健常者を先導して、歩き、語り合うイベントです。

私はかつて全盲の友人とこのイベントに参加しました。私は普段、彼をサポートして街中を歩くのですが、立場が逆転しました。脚を踏み出すのが不安な闇の中、彼は平然と歩き、私は彼の肩を借りました。私が視覚障害者の能力の高さを感じた瞬間でした。

 

「ろう者のコミュニケーション」もその事例です。ここ数年、私は毎年、手話ネイティブのろう者が数十人集まるパーティの事務局をやっています。そこで私はいつも苦労します。楽しそうな会話に付いていけません。ろう者の表情や動作による表現力が高すぎて中に入っていけないのです。ろう者の世界に身をおいてみると、彼らの非言語系のコミュニケーション能力の高さを改めて感じさせられます。

 

障害は多様です。ただすべての障害にも共通しているのは、健常者から見て「ふつう」じゃないことです。ならば、その「ふつうじゃない」強みを、世の中に伝える「発想転換」もあっていいのではないでしょうか。

 

工賃アップをめざすときに、ひとつひとつのプロセスや地域への売り出し方を改善します。生産工程管理やマーケティングはとても重要です。

そのとき、障害者がもつ「強み」を世の中に伝える視点をあわせ持ってはどうでしょう。健常者たちに「障害者には自分たちにはない、こんな能力があるんだ」と感じさせたらしめたものです。同情で商品を買わせる世界を脱して、尊敬の念まで抱かせる世界が構築出来たら最高ではないでしょうか。

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