B型事業の「工賃と利益」の関係(11月12日)

B型事業の「工賃と利益」の関係(11月12日)

K-NET!では、就労支援継続事業における工賃向上を目標とした活動を行っています。工賃を向上させるには、どのようにしたら良いでしょうか? みなさんも悩んでいらっしゃるのではないでしょうか?

工賃は就労支援事業の収益から配分されます。では、収益を増やすには?
いくつかのポイントを考えて見ましょう。

1. 就労会計と福祉会計
就労会計が扱うのは、利用者の生産活動によって得られた収益と、生産活動にかかる直接の原価・経費のみで、それ以外の収入・経費は福祉会計として別に扱われます。この仕訳を正確に行う事が工賃向上の第一歩となります。 → 基礎講座「就労会計基礎講座」で詳しく説明しています。

2. 就労会計の収益と工賃
適切に計上された就労会計の利益が工賃として利用者に配分されます。
この就労会計の利益は、就労事業(利用者による生産活動)全体の利益ですので、工賃を向上させる次のステップは、就労事業全体の利益の拡大になります。
なお、この場合の利益は就労事業の成果としての数字ですが、実際に利用者に支払った工賃(行政へ報告する工賃月額の数字)は、利用者数・来所日数等の要素により変動します。
→ 基礎講座「就労会計と工賃」で詳しく説明します。

3. 売上と利益
工賃配分の原資になるのは就労事業利益(工賃配分原資と呼びましょう)で、売上ではありません。事業所は売上の合算ではなく、事業ごとの利益を合算した工賃配分原資を基に工賃向上計画を立案する必要があります。そのためには事業ごとの利益を正確に把握する事が必要です。

4.2つの事業分野
就労事業には大きく分けて2つの分野が存在します。
1つは請負作業、軽作業など成果に対して発注元から金額が支払われるもので、支払われる金額(-若干の直接経費)が事業収益となります。
もう1つは商品販売や飲食店などで、お客様に販売した金額(売上)から仕入れた商品原価と加工にかかる経費を差し引いたものが事業収益となり、事業の内容によって利益率が大きく異なります。
→ 事業別分析と計画作成については、中級講座「中期計画作成」等で詳しく説明します。

5. 売上・原価・利益
2番目の事業(商品販売や飲食店など)では、売上から利益をどのように把握すれば良いのでしょうか? それは「売上から原価と経費を引いた残りが利益」です。
これはその通り。決算書にはそれぞれ記載されています。
しかし計画を作るためにもう一度考えて見ましょう。

利益を拡大させるポイントは、売上の増大と原価・経費の縮小です。では、売上を増大させる要素は?値下げで拡売するのと、値上げで売上が減少するのと、どちらの方が利益が増えるのか考えたことはありますか? 利益拡大のポイントは、基礎講座「売上と利益」で、詳しくお話いたします。

工賃向上のためには、固定費・変動費、利益率、在庫棚卸しと原価等の知識が必要です。また、請負作業では作業効率と受託金額の関係や利用者あたりの生産性を考慮する必要があります。

もちろん売上の向上のためにはマーケティングの知識も必要ですし、利用者のモチベーションを高めるための目標設定や工賃基準も重要です。

別の機会にこれらのポイントもお話しできればと思っています。

K-NET! 監事 MBA 米田和晋

 

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