B型事業の「工賃と利益の関係」2 価格と価値(2月14日)

B型事業の「工賃と利益の関係」2 価格と価値(2020年2月14日)

K-NET!では、就労支援継続事業の工賃向上活動を支援しています。
工賃を向上させるには、どうしたら良いでしょうか?
みなさんも悩んでいらっしゃるのではないでしょうか?

工賃は就労支援事業の収益から配分されます。では、収益を増やすにはどうしたら良いか?
今回はみなさんが苦労されている「適正価格」について考えて見ましょう。

1.価格を決める要素(内的要因)
価格を決める要素は、原価と必要経費それに「必要な利益額」です。みなさんの事業所では原価や経費は把握していらっしゃると思いますが(まだの場合は、K-NET!講座をご利用ください)、必要な利益はどのように決めていますか?

必要な利益額(=必要粗利)は事業継続に必要な総収益から算出されます。B型事業所の場合は目標工賃支払総額ですね。単一製品であれば、目標とする利益額を総個数で割ったものが一個あたりの必要利益額になります。ですので、同じ商品でも個数が多ければ必要利益額は少なく成り価格は低くなります。(複数商品を扱う場合の考え方は講座でお話しします)

2.価格を決める要素(外的要因)
原価、経費と必要利益から価格が決まりました。これでOKでしょうか? 残念ながらこの価格で売れなければ工賃は支払えません。そのために必要なのが製品価値で、価値の高い製品ほど高い価格で(または大量に)売れます。製品価値を考える時、必要な要素は主に次の4つと言われています。

製品
製品自体の品質、量、デザイン、耐久性等。食品では、味、栄養、量、見た目といった項目です。

価格
純粋な販売価格と同時に競合と比較した価格。原価の増減、必要利益額の増減によって変化します。

場所
どこで手に入るか?必要なときにすぐ手に入る製品は価値が高くなります。例えば、ペットボトルの価格は入手性に伴い、量販店<一般スーパー<コンビニ<自販機の順に価格が高くなりますが、皆さんも必要な場合は高くても自販機で購入しますよね。

広告
製品を差別化できる内容の告知。購入対象に製品のセールスポイントを知ってもらう活動になります。

どの価値を重視するかのバランスで製品の価格は変化します。(この4つの要素を英語の頭文字をとって「マーケティングの4P」と呼びます)

3.価格を決める要素(個人的要因)
実は顧客の嗜好や属性によって商品価値や重視する項目が変化します。これが顧客満足です。

顧客の嗜好、属性:高くても良いものを求める顧客なのか、最低限の品質を確保出来れば安い方が良いのか、希少品やブランドが欲しいのか など顧客自身が重視するポイントです。

顧客満足度:サービス内容。5年保証や返品無料、購入者優待など。店頭の接客も重要な要素です。

顧客の重視する価値:エコ、フェアトレード、被災地支援等個人によって異なります。

顧客の嗜好に合った商品、満足度の高い製品が価値を高め、価格を高くします。

4.就労支援事業における「適正価格」とは
就労支援継続事業における「工賃」は、利用者の社会的参加を達成するために考えられるべきであり、利用者の事業活動の成果である製品を適正な価格で提供・販売することは事業所・職員の責務です。販売対象者の属性や嗜好に合った製品を、顧客満足できる要素で差別化し、競争力のある価値で提供する事で必要な利益を確保できる価格がB型事業における「適正価格」と言えると思います。

「適正価格」を実現するためには従来の製品や製法、販売方法を変えなければならないかもしれません。新規商品や事業を開発する場合にもこのような要素を考える必要があります。

みなさんの製品の「適正価格」について考えてみませんか? K-NET!がサポートします。

K-NET! 監事 MBA 米田和晋

コメント