障害者施設商品のブランド化は、どこに行った⁈-2

障害者施設商品のブランド化は、どこに行った⁈-2

障害者が作ったモノ・サービスを一言で言うと?

ところで障害者が作ったモノ・サービスは一般的にどのように表現されているのでしょうか?

その昔(?)であれば「授産品」という言葉がありましたが、障害者自立支援法の施行とともにフェイドアウト(というかそのそもこの言葉自体一般には知られていなかった)し、今は何て呼ばれているのだろうと改めてギモンに思いました。

障害者就労事業所と一緒に仕事や活動をしている私がギモンに思うのも、これまたギモンですが、内部にいると自らを呼ぶ必要もないのでなおざりにしていたということでしょう。が、NPO活動を通じて、障害者が働くこと(障害者就労)とウェルフェアトレード(障害のある人が作るモノ・サービスを適正な価格で取引する仕組み)が強くリンクしていることを実感するにつれ、はて、障害者が作るモノ・サービスって一言でいったら何だろう?と改めて思ったのです。

みなさん、障害のある人が作るモノ・サービスって、なんと表現していますか?または表現しますか?

ブランド、ネーミング、ミッション、ビジョン、コンセプト

作り手である障害者就労事業所に聞いたところ、「施設商品」というのがほとんどでした。事業所関係者には自然な響きかもしれませんが、一般の耳には「施設商品」が「障害者が作ったモノやサービス」とは聞こえないように思います。もしかしたら言葉の持つ雰囲気が意味を伝えてくれるかもしれませんが。でもどういうものか、どう自分に関係するものなのかが全く分からないのではないかと思います。何かもっとスパッと分かる一言はないのかなと、もどかしい気持ちです。

その一言があれば余計な説明をしなくても、それそれ!と分かるので、すぐに話が次に進みます。(その一言はネーミングでもあるし、ミッションでもあるし、ビジョンでもあるし、バリューでもあるし、コンセプトでもあるし、つまりはブランドということになります)

この一言がないというのは、つまり、ミッションやビジョンやバリューやコンセプトがない?!、いやいや表現されていないというのが全体をぼんやりさせてしまっているのでしょう。

そこである研修で、事業所の皆さんに
・障害者が作っているモノやサービスを一言で言ったら、何?
・そのココロは?
というお題で各事業所内で考えてきてもらいました。

そして出てきたのは、
・虹色商品(ココロ:利用者さんにも十人十色の個性があり、みんなで作業をすることによって融合され、虹色のような素晴らしいものが作り上げられるということ。夢と希望を与えられるような商品と事業)
・ワクwork商品(ココロ:元気がわく、勇気がわく、やる気がわく等のわくと仕事のworkをかけて
・社会と共に生きる事業 みんなで作る商品 社会と繋がる作業(ココロ:暖かい気持ちになれるように)

そのほかにも、トレジャー、ちゃれんじど、ほっとメイド、ボーダーレス、絆、などというワードが出てきました。

それぞれの言葉の中に、どのように伝えたいか・伝わってほしいかが感じられます。

このお題をもっともっと繰り返していくと、言葉遊びを超えて、もっと深いところにあるミッションやビジョンやバリューやコンセプトが引き出されていくのではないかなと思います。

 

ブランドに向けた、はじめの一歩

引き出されたものが言語化されて、それがベタな表現・商品名であっても、それを支える理由がしっかりしていれば強いメッセージになって相手に届きます。この支える理由がロゴになったり、メッセージになったり、キャッチフレーズになったりして、視覚的にもブレないものになっていきます。

そして作り手サイドとして一番大事なことは、一定の品質を保つこと。そのために作り手(利用者+職員)のスキルアップや組織作りを楽しく継続することが挙げられます。

そういう行動の先にあるのは、〇〇だから△△というネガティブな受け止めではなく、◎◎だから♡♡というポジティブな受け止めになるでしょうし、障害者が作ったものだから安くて当たり前という刷り込みもどんどん薄れていくと思います。

ウェルフェアトレードに作り手として参加するということになります。

業界全体を一気に変えようとか、明日からこのネーミングで行こうとか、そういうことは現実的ではなく、どう呼ばれたいか・何を伝えたいか、それはなぜかという思いを共有できて行動できる事業所がネットワークを組み、示していくのが遠いようで一番近い方法だと思います。

そして何より大事なのは「継続」。
継続のためにも同じ思いの仲間がいることは大事ですね。

 

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