障害者施設商品のブランド化は、どこへ行った?-1

障害者施設商品のブランド化は、どこへ行った?-1

工賃向上活動で障害者施設商品のブランドを作ろう!という動きが多かったが・・・工賃向上のかけ声が大きかった頃、全国のあちこちで障害者施設商品のブランド作たりというのが起こっていた(流行っていた?)と思いますが、あれはどこにいったのでしょうか?

障害者施設商品が売れない→売れないのは知られていないからだ→知ってもらうために「ブランド」を作ろう!という盛り上がりで、同じ地域内の施設の商品を束ねるようなマークやキャッチを作って、区役所や市役所などに販売場所を設けてのぼりを立てて福祉バザーを行う、みたいな流れだったと思います。中には販売場所を、「自前で店舗を設けて」とか、「集客のある店舗での委託販売で」などどいうもののあったみたいですが。

 

「ブランド」を作ってみたものの・・・
最近いただくご相談の中に、この「ブランド化のその後」的な案件がぽつりぽつりと入ってきています。大体が、「ブランド化をしてマークを作ったのに、売れません。ブランドの見直しをしたいのですが・・・」という内容のもの。

このブランド化問題、いくつかの課題に分けられそうです。

1.コンセプトやロゴ、メッセージはきれいに出来上がっているのに、個別商品への展開が上手くいっていない。
専門家など詳しい人が入ってコンセプト等を作ってみたものの支援がたぶんそこまでだった?
コンセプト等が実は実践者(障害者就労施設)に腹落ちしていなかった?
個別商品への展開スキルが不足していた?

2.コンセプト、ロゴ、メッセージ、個別商品への展開が統一性がなく、バラバラ。
言葉の持つ意味や統一性が理解されないまま、個別に考案されていた?
ブランドそのものの理解不足?

3.ブランド=マークを貼ることと理解している
マークを作って貼ればいいと思っていた?
ブランドそのものの理解不足?

ブランド狂騒曲の根っこにあるもの
そもそもこのブランドを作ろう!という動きは、多くは、「障害者施設商品が売れない→売れないのは知られていないからだ→知ってもらうために「ブランド」を作ろう!」という背景だったと理解しています。しかし「売れないのは知られていないからだ」というのは、十分に検討されたのでしょうか?知られたら、施設商品は売れるのでしょうか?知られるというのは、誰に知られたいのでしょうか?どのように知られたいのでしょうか?そこの十分な検討があっての商品化であったり、売り方であったりするわけですが、そこには提供価値=お客さんからしたら買う理由が明確にありますか?

これらの質問を何度も何度も問いかけながら商品や売り方ができ、それらを管理していって、ブランドって出来上がってくるものだと思います。

「同じ地域内の施設の商品を束ねるようなマークやキャッチを作って、区役所や市役所などに販売場所を設けてのぼりを立てて福祉バザーを行う」のであれば、単に従来の福祉施設商品の販促活動に力を入れたということ。それはそれで悪くないですが、福祉に関心のある人たちに福祉商品を強くアピールしたということで、「障害者施設商品が売れない→売れないのは(福祉に関心のある人たちだけでなく一般の人たちに)知られていないからだ」という考えには合っていない行動ということになります。

 

障害者施設商品が売れるためには
地味ですが、買ってくれるお客さんに支持されることです。

福祉に関心のある人たちが大半のお客さんかもしれませんが、中には商品なり、サービスなりの「ここがいい」と思って買ってくれている人もいるはずです。そういう声を一つ二つ集めていくというのが地味ですが、力になります。

でもここが、実はすっぽり抜けている。

お客さんの声を聞くというのは、誰でもできます。支援員1年生でもできます。
おカネもかかりません。必要なのは好奇心だけです。
自主製品を看板(ブランド)にしたいなら、好奇心を持ってお客さんと向き合うましょう。

もう一つは他人評価。自己評価や身内評価は偏りが生まれるので、モノやサービスの力を客観的に評価するのは、例えば消費者調査があります。最近は廉価でできるものもありますから、それらを活用するものも良いでしょう。

「ブランドを作ってみたものの・・・」とお困りの方がいらしたら、「障害者施設商品が売れるために、ブランドを作ろう!」という飛躍的なアプローチは脇に置いて、「消費者施設商品が売れるために、喜んで買ってもらえるように商品や売り方を考えよう」とアプローチをセットしなおしてみたらいかがかなと思います。

コメント