障害者就労支援事業は儲かる⁈-3

【この事業は、利益の最大化?】
障害者総数約964万人中、18歳~64歳の在宅者数約377万人。企業等で働いている人約53.5万人、就労系障害福祉サービスを利用している人約34.2人。数字の上からだけだと約289.5万人が就労の機会を得ていないということになります。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html

そんなわけで障害福祉サービス事業(就労移行支援、就労継続支援A、B、グループホーム等)参入を促す言葉が躍るのも無理はないと思いますし、事業がどんどん生まれていくことに全く異論はないのですが、踊る言葉に時折違和感を感じるのは、その言葉が「利益の最大化」しか語っていない場合です。

あくまで個人的な感覚ですが、障害福祉サービス事業を「ビジネスモデルが決まっている事業」「再現性が高い事業」という角度だけで言われると、なんとも落ち着かない思いがします。

そもそもこの事業は事業者が利益を最大化していくための事業でしたでしょうか?

 

【制度に基づいた事業で成すことを知りたい】
ある自治体の方と話をしている中で、全くその通り!と膝を打ちたくなる言葉がありました。曰く、「事業者申請は年々増えているが、自分たちの事業が利用者にどういう意味があるか説明してほしい。公金を使う事業であることを十分理解し、自分たちが行う事業が本当に公金を使って行うものなのかどうか考えてほしい」

国の制度に基づいた公金を使った事業である。
その事業は障害のある人の就労や雇用や生活を支えるものである。

利益にしか言及していない言葉に出会って居心地の悪い思いをするのは、上記の至極当たり前のことが、なぜか見事にスッポリ抜けてしまっているからかもしれません。制度を使うのなら、利益に着目する前に、この事業によって自分たちは何を成し遂げるのか、どのように障害者のある人たちの仕事や生活に役立つのか、公金を使う意味がどこにあるのかを自分たちの言葉で説明してほしいなあと思います。青臭いという人も中にはいますが…

誤解がないようにあえて付け加えると、儲けることや利益を追求することが悪いといっているのではありません。その場合は制度を使わず、本当にビジネスとして、障害者雇用をして利益を追求していってほしいなと思います。そういう事業者はまだそう多くは現れていないと思いますし、とてもクールでカッコいいと思います。東京都ではそういう事業者を後押しするソーシャルファームの条例ができましたね。

 

【エッセンシャルな事業だからこそ、継続してほしい】
繰り返しですが、障害福祉サービス事業に参入者が増え、良い事業が生まれていくことは大いに賛成です。そして強調したいのは、何のための事業かがブレずに成果を上げてほしい、良い事業を継続してほしい、ということです。

事業所とお付き合いさせていただいている中でつくづく感じるのは、この事業は社会基盤の一つだということ。エッセンシャルな事業です。コロナ禍においても、開所していることで安心することができた利用者や保護者は多かったと聞いています。

障害福祉サービス事業に興味を持った方はぜひこの時点で、なぜこの事業を自分が行うのか、その事業で何がしたいかという、自分自身と事業に対して向きってみてください。そこからビジョンが生まれ、そこに行くための道筋(制度を活用して進む道筋)が見えてきます。

またすでに事業を行っているが何か困難に直面している方は、この時期に、同じように自分自身と事業に向き合ってみてください。すでに経験しているので、より深く向き合うことができると思います。

そして事業者、経営者としてどうあるべきかを考えてみませんか。当たり前のことですが、職員がいないとこの事業はできません。ということは職員にどういう職場を提供するのかはとても大事なことです。仕組みがあっても、それを動かすのは「人」。動かし続けるのは「人」です。

「人」「経営」「事業」に生まれる不安は、話したり、情報を得たりすることで解消されることが多いと思います。

ぜひ話し合ってみましょう。

私たちK-NET!は良い事業、良い事業が継続していくことを心から応援します。

 

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